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10月16日のまにら新聞から

新学期で露呈した能力不足 間違い多い教育省自習教材

[ 754字|2020.10.16|社会 (society)|新聞論調 ]

 新型コロナウイルスの感染拡大により遅れていた公立学校の新年度がついに開始され、全国で2250万人もの児童生徒がようやく学べることになった。

 しかし、教育省が開発した生徒向け自主学習システム「セルフ・ラーニング・モジュール」には問題が多く、すでにインターネット上ではその間違いを指摘する声や批判であふれている。こうした状況にもかかわらず、ブリオネス教育相は「おおいに成功した」と自画自賛したうえ、「多少の誤りはあったが、教育省のせいではない」と弁解した。教育省はその後、急ぎ教材の間違い部分に対処すると追加で釈明した。

 それでもサンアントニオ教育次官がネット上での誤りの指摘を歓迎し、同省が外部の調査者を雇用して対処に当たると説明したのは救いだと言えよう。同次官によれば、教育省はすでに関連するリンクや連絡先をオンライン上に公開しており、外部から直接、自習用教材の間違いについて報告ができる状況だという。次官自身もこの問題に関連するフェイスブックページを立ち上げている。

 同次官の取り組みは評価したいが、それでも自習用教材の内容の質が十分に吟味されることなく運用が始まったのは、考えられないことだ。ソーシャルメディア上で先週までに指摘された誤りは35にのぼるというが、そのうち教育省の調査チームが内容をチェックしたのは1件に過ぎないという。

誤りがあるモジュールは18にのぼるが、これらも点検を経ずに公開されている。デルパスクア教育次官はモジュールの内容を改善するために外部のパートナーたちと交渉しているという。

 もしソーシャルメディアで抗議の声が上がらなかったら、果たして教育省はこの教材の間違い問題に対処したのだろうか? まだまだ教育分野で課題は山積している。(14日・スタンダード)

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