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8月19日のまにら新聞から

マリキナ市に学べ 防災対策

[ 632字|2018.8.19|社会 (society)|新聞論調 ]

 先週末の激しい雷雨を受けて、首都圏各地の避難所を比較する投稿がソーシャルメディアで広がった。タギッグ、マカティ、マリキナ各市の避難所には家族ごとのテントがあったが、マニラ、ケソン両市では仕切りのない避難所だった。

 マリキナ市では2009年の熱帯低気圧オンドイで、住民70人が死亡し、2700万ペソ以上の被害を受けた。同市はその後、1・5キロ先まで聞こえるサイレンを川岸沿いに設置、太陽光により動く暗視可能なカメラを橋に設置し、川の水位を監視できるようにした。その結果、住民は09年より避難を積極的に行い、救助ボートに不足があったにもかかわらず、死者は1人のみだった。

 地方自治体は自然災害の最前線で、歳入の5%を防災予算に割り当てることが法律で義務付けられる。その3割は即時救援の基金に、7割はテントや応急手当てキットなどの備品に当てられる。マリキナ市はマニラ、ケソン両市ほど財政は豊かでないが、効率的な早期警戒システムで市民のニーズに対応した。

 マリキナのやり方に「飾り」がないことも話題になった。避難者にプライバシーを提供するように設計されるのみで、政治家の名前や顔はなく都市と部署名があるだけだった。その様子は他の多くの事業とは異なる。

 他の地方自治体や政府は「マリキナモデル」から学び、大きな看板や安っぽい票集めではなく、税金が市民のために使われていることを示すべきだ。効率的で即応できる公共サービスが必要だ。(16日・インクワイアラー)

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