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1月29日のまにら新聞から

比経済への影響大 米トランプ政権始動

[ 775字|2017.1.29|社会 (society)|新聞論調 ]

 「何十年もの間、われわれは国内産業を犠牲にして外国企業を豊かにしてきた」。トランプ米大統領は就任演説で嘆き悲しんだ。「われわれは他国の国境を守る一方、自国の国境を守ることを拒んできた。何兆ドルも海外で使う一方で、自国のインフラは荒廃し衰退した」。

 トランプ氏は二つのルールを宣言した。「米国の物を買い、米国人を雇う」。長い間、誰もトランプ氏の言うことをまじめには受け取らなかったが、われわれはトランプ政権をまじめに考えなければならない。

 彼は従来型の政治家ではない。大統領の座がトランプ氏の姿勢を転換させると期待するのは的外れだ。米国中西部のラストベルトを復活させることを目指し、世界秩序の中で国益を強調し、軍に誇りと栄光を与える。トランプ氏はただの指導者というだけでなく、これらの運動全ての指導者なのだ。

 彼は米国に職を取り戻すため、貿易戦争の危険を冒すだろう。関税を課し、既存の貿易協定の再交渉を行い、海外に拠点を置く米国の企業を罰する。米国はフィリピンなどのアジアの国にとって1位の輸出先だ。ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業の1位の投資元は米国だ。これらが全て影響を受ける可能性がある。

 米国が比を直接の標的にせず、中国や日本といった他の経済大国を標的にしても、われわれの地域経済への影響は大きい。その上、米国人の安心感を保つために、国境には比喩的な壁を作るだろう。

 国境警備を厳重にし、移民政策を厳しいものとするはずだ。空港など入国地点での警備は厳重になり、渡航条件の緩和は米国の安全を脅かすものとみなされるだろう。このことは北米に旅行や移民のために訪れたり、合法的に滞在期間を延長したりする比人に大きな影響を与えると予想される。これらは比とアジアに与える影響の始まりに過ぎない。(25日・ブレティン)

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