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7月20日のまにら新聞から

エコゾーンの再構築を 経済区庁の改組提案

[ 803字|2018.7.20|社会 (society)|新聞論調 ]

 比経済区庁(PEZA)が23年間不変だった自身の憲章を修正し、政府系企業に改組するよう国会に求める意向という。この際、立法府で同庁を従来通りの機関として維持するのかどうかしっかりと再検討するのが良いと思う。

 エコゾーン(特別経済区)は、限定された地区で海外投資を呼び込み、優遇措置など規制緩和を提供し、ビジネスコストを引き下げる。そうすることで必要とする外貨を取り込み、雇用を創出するのだ。このエコゾーンに対する最大の批判は、その経済的恩恵が国内企業や産業の発展につながる程度まで十分に行きわたらないというものである。

 フィリピンの状況に照らせばそのような問題を含んでいるのも確かだ。たとえばカビテやカガヤンなどの経済区は確かに成功しているが、原材料や半製品などのサプライチェーンが国内で確立していないため、その恩恵は経済区内にとどまっている。また、経済区の概念も乱用されており、マニラ首都圏にある商業ビルがそれぞれ別個に経済区として認定されたりもしている。

 一方、プラザPEZA長官も指摘しているが、政府の税制改革法案第2弾には投資家に混乱をもたらす条項が含まれている。法人税を引き下げると同時に、エコゾーン入居企業などに対する税優遇措置などインセンティブの合理化が盛り込まれた。また、インセンティブの状況を監視する財政インセンティブ規制委員会(FIRB)の設置も組み込まれている。この委員会設置はPEZAが従来果たしてきた機能の一部を別の政府機関に分割するだけであり、投資家の間に混乱を引き起こす可能性がある。

 しかし、ドゥテルテ政権の政策は経済的恩恵をより広くあまねく浸透させ、全国に経済成長を行きわたらせることだ。これまでのエコゾーン政策で得た経験を基に、フィリピンは今後、経済的恩恵を拡散させるため、国土全体をエコゾーンとしてとらえる政策を実施すべきだろう。(19日・タイムズ)

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