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12月11日のまにら新聞から

実りある協力関係を 副大統領の閣僚辞任

[ 715字|2016.12.11|社会 (society)|新聞論調 ]

 その努力に「A」評価を与えたい。ドゥテルテ大統領とロブレド副大統領は政敵同士の政党所属にもかかわらず、政権発足から数カ月間、一緒に政権を運営したのだから。

 国のトップ2の高官が5カ月で仲たがいするのは時期尚早だ。しかしながらスタートからロブレド氏は閣僚メンバーになじまず、もう1人の自分を演じていたようだ。それは例えば、麻薬撲滅政策を含む現政権の施策を支持する「無理な姿勢」に暗示されていた。

 しかし支持に徹することはできなかった。ロブレド氏は撲滅政策における人権侵害の可能性に言及し、相次ぐ国際社会からの非難に懸念を示した。英雄墓地へのマルコス元大統領の遺体埋葬にも反発し、市民団体の声に同調した。 

 5日、正式に閣僚ポストを辞任したロブレド氏は「この国に好ましい現政権の政策であれば支持したい」と言明した。正・副大統領の間には「埋めがたい溝」があると指摘されているが、大統領府によると、ドゥテルテ氏が「閣僚会議へのこれ以上の出席は望ましくない」とロブレド氏に伝えるよう側近に指示したという。

 記者会見でロブレド氏は、ドゥテルテ氏と協調できると考えていたことを明らかにしたが、自身の見解を表明する自由を謳歌(おうか)したいとも述べた。

 閣僚ポストを辞任した今、彼女にはそれが可能になった。声明を発表し、側近から決して聞くことはないだろうドゥテルテ氏への批判も展開できる。そして現政権に対する不満の声を代弁することもまた、可能になった。

 2人はもう二度と目を合わせることはないかもしれないが、それぞれの方法で国益を追求していけるだろう。実りある協力関係を築く余地はまだ残されているはずだ。(6日・スター)

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